- 散文(さんぶん)は、リズムなど関係なく作者の感じたままを連ねる文
- 韻文(いんぶん)は、音としての一定したリズムやルールをもって連ねる文
散文も韻文も、子供から大人まで手軽に楽しめる文学ですね。そして、誰もが一度はふれたことがあるといえるのではないでしょうか。
どちらも、身近な文学として不可欠な存在。しかし、意味としては互いに対立している対義語になります。
形にとらわれることのない「散文」と、古代からよき文化を残す「韻文」。それは、人の心や歴史としてその思いを残しつつ、私達を日本の心と文化を礎とした明るい未来へと導いてくれるのです。
散文
散文は、中国の六朝時代以降に当初存在した韻文や駢(べつぶん)文とは区別する文体として生まれました。そして、散文は唐の時代に全盛期を迎えるのです。
駢文(べつぶん)……「駢体」や「駢体文」ともよばれ、韻文や散文とは対立する中国の文章や言葉における文体
日本では、「古事記」や「日本書紀」にはじまります。その後、恋愛小説「源氏物語」や随筆「枕草子」などさまざまなジャンルを開拓していくのでした。
散文は、小説や随筆に評論、身近なところでは書簡(手紙)のことも含みます。なお、散文には散文詩といわれる詩も含まれるのです。
おもな散文と作者
散文の作者として、源氏物語といえば現代訳された小説などもあり映画や舞台のほか漫画でも有名ですね。
「源氏物語」、「紫式部日記」……紫式部
「痴人の愛」、「琴抄」、「細雪」……谷崎潤一郎
「仮面の告白」、「憂国」、「豊饒の海」……三島由紀夫
韻文
韻文は、その形式は違うものの古代から世界中で親しまれています。ときには、神話や歴史を伝える重要な文章にもなりました。また、中国の文学においては散文や駢文とは対立する文体としています。
日本では、一定のリズムや決めごとにのっとって創られる散文詩を除いた詩全般をさします。なかには、俳句や和歌などの句も含まれるのです。
リズムとしては、俳句の「5・7・5の17音」や、和歌や短歌の「5・7・5・7・7の31音」が特に有名でしょう。
おもな韻文と作者
韻文の作者として、菅原道真といえば福岡の太宰府天満宮に祀られていることで有名ですね。
和歌「東風(こち)吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」……菅原道真
俳句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」……松尾芭蕉
詩「星とたんぽぽ」……金子みすゞ
出典