- うちわは扇部に持ち手がついている物が一般的な形。
- 扇子は骨を組み合わせて畳むことができるように作られている。
どちらも竹や和紙で作られ、あおいで風を送る道具として江戸時代から庶民に使われてきました。
現在では扇風機やクーラーなどの普及により、あおいで涼を取るという実用的な使われかたは減ってきています。
うちわ
竹や和紙で作られたうちわは江戸時代に庶民の生活に取り入れられ、あおいで涼むためや炭の火をおこすために使われました。現在では酢飯を冷ますためや、鰻屋さんの店先で使われているのを見かけることもありますが、夏祭りの浴衣姿の小物としても取り入れられています。
扇部と持ち手が一体のプラスチック製が多くなり、紙製の扇部に指を入れる穴を空けたものもあります。安価で大量生産が可能なため、企業のノベルティグッズなどにも利用されることが多くなってきています。
うちわの伝統工芸品
- 京うちわ:木製の柄と国産竹の骨を使用し、差し柄という手法で作られている。竹ひごの本数が多いほど上級品とされている。
- 丸亀うちわ:平たく削った真竹を使い、一本の竹から柄と骨が作られている。生産量が一番多い。
- 房州うちわ:千葉県館山市や南房州市で作られ、骨と柄が一体の丸みを帯びた特徴的なデザイン。
扇子
扇子は平安時代から貴族や神職が装飾品などに使われていましたが、庶民に使われるようになったのは、扇子が中国に渡って逆輸入された室町時代ごろからといわれています。
能や舞、茶道などの芸能に広まり、うちわと同様に江戸時代から庶民の生活に取り入れられていきました。時と場面によって用いられる扇子が異なるのが、うちわにはない特徴といえます。
祝儀扇は和装の冠婚葬祭に使われますが、和服の種類や性別によって用いる扇子が異なります。
茶道や能、舞などの伝統芸能では、茶扇、能扇、舞扇など決まった種類があり、さまざまな場面において扇子が独自の表現に使われています。
扇子の伝統工芸品
- 京扇子:扇骨の本数が多く、扇面は狭い幅で折りたたむことができる。華やかな図柄のものが多い。製作工程は多数あるが、工程ごとの職人による完全分業制で作られている。
- 江戸扇子:扇骨は15~16本と少ないがしっかりとしていて、扇面の折幅は京扇子に比べると広い。シンプルな図柄のものが多い。扇骨作りや絵付け以外は、一人の職人による一貫製作されている。
他にも和紙に透かしを入れたうちわや、扇面に和紙ではなく布を使用した風情のある扇子など、さまざまな種類のうちわや扇子があります。
出典:日本文化いろは事典