- すじこは、未成熟で表面の膜がやわらかいたまご、卵巣の膜につつまれたままほぐさず1本まるごと味漬けしてある。
- いくらは、成熟して表面の膜がしっかりしたたまご、筋からひと粒ひと粒ほぐしてある。
すじこもいくらも、親は同じ鮭(さけ)や鱒(ます)の子供ですが、みた目も味もそれぞれのよさがあっておいしいですよね。生で食する寿司ネタなど日本の食卓に欠かせない食材でしょう。
日本ではこんなにも愛されているすじこやいくらですが、実は相性の悪い食材としてあげられるのが「ワイン」。理由は化学反応にあり、ワインを飲みながら魚卵を食べると鉄イオンが発生して、生臭さが強くなってしまう組み合わせなのです。火をとおして食べることのない食材の弱点でしょう。
世界でみると、生のままいくらを食べる地域は限定され、アメリカやカナダではいくらを釣りや家畜のえさにします。また、イヌイットは資源を大切にする民族であるにもかかわらず、すじこやいくらなど内臓は捨ててしまいます。
しかし、近年のアメリカではいくらが食べられるようになりました。日本食ブームが到来した今日では、中型スーパーなどでも目にする一般的な食材となりつつあるのです。
いまやすじこやいくらは、日本が世界に誇る食文化のひとつになりました。
すじこ
すじこは、加工品としての歴史は古く、平安905年の延喜式(今でいう法令集)に記載されている「内子鮭(こごもりのさけ)」にさかのぼります。加工方法は不明であるものの、「すじこをもった鮭」として食べられていたのでした。
すじこといえば、一般的には塩蔵品(塩漬け)にした加工品のことですが、未加工のすじこは「生筋子」といいます。しかし、東北では加工品のすじこを「筋子」、未加工品は「腹子(ハラコ)」として区別されています。その名前は、「鮭の腹(はら)の中にはいっている子供」ということが由来。
すじこの別名
すじこは、親の名前とすじこの「子」だけを漢字にして表現することも多くあります。(マス子は、サクラマスやイワナなどのマス全般のすじこについて表すこともあります。)
- 白鮭……サケ子やチャム子、ハラ子
- 樺太鱒(カラフトマス、ピンクサーモン)……マス子など。
いくら
いくらは、すじこに比べると意外にも歴史が浅く、大正時代にロシアから伝えられた製法で試験的に塩漬けを造ったことからはじまりました。当時は保存がきくことから塩漬けでしたが、現在はやや甘口のしょうゆ漬けも多く見かけるようになりました。
富山県の日本カーバイド工業では、世界ではじめて見ためも味もほぼ変わらない人造イクラの製造に成功。しかし、現在ではコストがかかるため流通されることはまずありません。
いくらの別名
いくらは、親の名前にいくらの文字をつけて表現することもあります。また、日本では主に白鮭のたまごとされ、ロシアで使われる樺太鱒(ピンクサーモン)のたまごとは区別しています。
- 紅鮭……紅イクラ
- 樺太鱒(ピンクサーモン)……マスコ、マスイクラ など。
出典