- 台詞は、俳優が芝居などで役を演じるうえで使う言葉
- 科白は、歌舞伎役者や俳優が役を演じるうえで使う身のふるまいや言葉
台詞も科白も、中国に語源をもつ漢字に日本で使っていた「せりふ」をあてた熟字訓です。
熟字訓(じゅくじくん)……単体の文字ではなく文字を連ねた「単語」に、かなり近い意味をもつ「日本独自の語句」をあてること。
日本では、台詞や科白として使われはじめたのは明治にはいってからでした。せりふ自体は、すでに江戸時代のはじめごろから存在していたのです。
今では、演劇や歌舞伎に映画、それに脚本やマンガなど創作にはかかせない言葉ですね。
台詞
台詞は、せりふと読むのが一般的ですが「だいし」とも読みます。
江戸時代までさかのぼると「文句」をいうときや「いいわけ」の意味にも使われていました。そして、もうひとつの意味として使われたのが「交渉」。そのため、遊郭においては支払いやかけ引きにも使われていたのです。
今では、芝居やマンガなどに使うだけではありません。歌唱のあい間で、メロディにのせないで語る歌詞としても使いますね。
台詞の分類
戯曲など芝居での台詞としては次のとおりです。
- 対話(たいわ)……ダイアローグともいい、舞台の上でふたり以上のキャストが交わすせりふ
- 独白(どくはく)……モノローグともいい、舞台の上にたったひとりで立つキャストがひとりごととして語るせりふ
- 傍白(ぼうはく)……アサイドともいい、舞台の上のキャストには聞こえていない前提で観客席にむけて本心など話すせりふ
科白
科白も、台詞と同様にせりふと読むのが一般的ですが「かはく」とも読みます。
とくに歌舞伎の科白としては、音楽に強く影響されて韻(いん)をふむような科白がいろいろな形に発展しました。
なかでも「捨て科白」は有名で、今でも「捨台詞」として使われています。
一般的には、別れるときのあいさつのほか、相手にひどく汚い言葉をあびせて傷つけることやけなすことを意味します。
科白の分類
歌舞伎での科白としては数多く存在しますが、なかでも有名なのは次のとおりです。
- 捨て科白(すてぜりふ)……舞台の上で脚本になりせりふを役者が即興で発する
- つらね……とくに荒事(あらごと)で使い、花道で主役が発する長いせりふ、のちに「割り科白」や「渡り科白」にも発展
(荒事とは、神の域にも達するような霊力をもって悪を正す歌舞伎ならではの役どころ。)
- 名乗り科白(なのりぜりふ)……多くは主役が登場するシーンで名乗りをあげるときのせりふ
出典