- ウイルスは人や動物の細胞内でしか増殖できず、抗菌剤は効かない
- 細菌は自分で増殖できるが抗菌剤で破壊することができる
感染症を引き起こす病原体には大きさや構造によって細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などがあります。同じような症状でもウイルス感染か細菌感染かで対処の仕方が違うので、ウイルスと細菌の違いを知り、医師の指示に従って治療を受けるようにしましょう。
ウイルス
細菌の50分の1くらいの極微小な病原体です。
細胞はありませんが、遺伝物質があり、非生物と生物の両方の特性を持っています。単独では増殖できず、動物、植物、細菌などの細胞内でだけ増殖することが可能です。
ウイルスによる感染症
ウイルスによる感染症には
- インフルエンザ
- 感染性胃腸炎(ノロウイルス)
- 風疹
- 水痘(水ぼうそう)
- 後天性免疫不全症候群(エイズ)
などがあります。
ウイルスには抗菌剤(抗生剤、抗生物質)が効きません。
タミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬はありますが、ウイルスに効果がある薬は少数しか開発されていないのです。
風邪の多くはウイルスによるものですが、風邪薬は症状をやわらげる効果しかないので、休息と栄養をしっかりとることが大切ですね。
細菌
単細胞の微生物で、ふたつに分裂しながら増殖していきます。バクテリアともいいますね。
人の体に侵入して、病気を起こす有害な細菌もいれば、皮膚や腸内の環境を守るよい細菌もいます。
乳酸菌や納豆菌など、食べものを発酵させておいしくしてくれるものもありますね。
細菌による感染症
細菌による感染症には、
- ペスト
- コレラ
- 腸管出血性大腸菌感染症(O157など)
- 結核
- 敗血症
- 溶連菌感染症
などがあります。
抗菌薬(抗生剤、抗生物質)は、細菌を殺したり、増えたりするのを抑える薬です。しかし、腸内の環境を保っている細菌まで攻撃してしまうため、下痢などの副作用が出ることがあります。
抗菌薬は医師や薬剤師の指示通り服用することがとても重要です。
症状がよくなったからと途中で抗菌薬の服用をやめたり、量を減らしたりするのはやめましょう。
病気がぶり返してしまうこともありますし、抗菌薬が効きづらい薬剤耐性菌を増やすことになるかもしれないのです。
薬剤耐性菌が増えると感染症の治療が難しくなるだけでなく、手術のときや抗がん剤治療で免疫が低下したときの感染症予防が困難になってしまいます。
感染症予防
感染症の多くは手に付着した病原体(ウイルス、細菌)が体内に入ることで感染します。
手洗いはとても有効な感染対策です。
ワクチンで予防できる感染症もたくさんありますので、受けられるワクチンは接種しておきましょう。
出典