・アサガオ(朝顔)は、もともと薬草として渡来後、江戸時代の品種改良により観賞用に変身し、大流行。以降、園芸用として各家庭でも栽培されるようになった。
・ヒルガオ(昼顔)は、在来種もあり全国各地で見られるが、どんどん繁殖して根絶が難しい。農家では大迷惑な強害草(雑草)として扱われている。
今回は、アサガオとヒルガオを見わけるコツもご紹介します。
アサガオ(朝顔)
アサガオの基礎知識
- 学名 Pharbitis nil
- 和名 アサガオ(朝顔)
- 科名 ヒルガオ科 サツマイモ属
- 形態 蔓性(つるせい)の一年草
- 分布 北海道~九州
- 開花期 7月中旬~10月上旬
- 特性 主に、早朝から昼前まで開花。初心者でも育てやすい
薬用から園芸用へと変化したアサガオ(朝顔)
夏の草花としてなじみの深いアサガオ(朝顔)ですが、起源は中南米地域で薬草としてもちいられていたもので、日本へは中国から渡来しました。
主に種子は牽牛子(ケンゴシ)と呼ばれて珍重され、強力な下剤としてあつかわれます。
観賞用として広まったのは江戸時代に入ってから。「大輪」や「変わり咲き」など多くの品種が誕生し、文化文政期と嘉永安政期に、2度の大流行が起こりました。
その後、開花期が長く育てかたもラクなことから、園芸用の草花として、日本各地で栽培されるようになりました。今でも、アサガオは夏の花として広く愛されています。ここがヒルガオとの違いでしょう。
アサガオといえば、夏の訪れを告げる行事にアサガオ市があります。
有名なのは、七夕の頃にもよおされる、東京・入谷の『入谷朝顔まつり』。早朝6時から、毎年多くの観光客でにぎわいます。
ヒルガオ(昼顔)
ヒルガオの基礎知識
- 学名 Calystegia japonica Choisy
- 和名 ヒルガオ(昼顔)
- 科名 ヒルガオ科 サツマイモ属
- 形態 蔓性(つるせい)の多年草
- 分布 北海道~九州
- 開花期 5月~8月
- 特性 早朝~夕方頃まで咲く。地下茎で増え、繁殖力旺盛
人の生活圏で見かける人里植物
ヒルガオは、畑や垣根、道路わきの植え込み、空地など、人間の生活のすぐ近くで自生している人里植物です。人里植物とは、いわゆる雑草です。
開花は朝から夕方頃まで。昼間に咲くのが、和名「ヒルガオ(昼顔)」の由来。
5月~8月、外を歩いていると、道路脇の植え込みなどで、ツルを絡めたかわいらしい薄桃色の花を見ることができます。
除去が非常に困難な雑草
ヒルガオは多年草で、種を作らず、地下に地下茎という茎(クキ)を広げて繁殖します。
地下茎は再生力が強く、切断した部分からどんどん芽が広がってしまうので、一度生えてしまうと除去は非常に困難です。
特に農耕地での影響は深刻で、農作物の収穫にも影響するため、農家の人には「強害草」として嫌われています。
ヒルガオが園芸用にならなかった理由は、ここにありそうですね。
アサガオ(朝顔)とヒルガオ(昼顔)の見わけかた
簡単な見わけかたをご紹介します。
葉 | 花 | 種 | |
アサガオ | 幅広で、フサフサと毛が生えている | いろいろな色がある | 付ける |
ヒルガオ | 細長の矛(ホコ)や矢じりの形で、毛がない | ほとんどが白に近い薄桃色 | 付けない |
結論
- アサガオは観賞に向く園芸用
- ヒルガオは農家が嫌がる強害草で雑草
という、大きな違いがありました。
小ネタですが、俳句の季語にも違いがありました。
- 朝顔:初秋(秋)の季語
- 昼顔:夏の季語
ヒルガオは梅雨時から咲き始めるので「雨降花(アメフリバナ)」という粋な異名も持っています。
アサガオ、ヒルガオのほかに、ユウガオ(夕顔)、ヨルガオ(夜顔)という草花もあり、違いがあります。
出典